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屋上・窓・天パ







 ぽかぽかとした、春の日。空は真っ青で、雲は白い。
窓からてり付ける日差しは、早くも夏を感じさせるものだった。
私は自分の天パの髪の毛を何度も何度も触って、授業を受けていた。どうもまとまらないなぁ、なんて考えながら。
周りの皆はどうしてあんなにきれいな髪質をしているのだろう、と考えた。すると、耳の奥で
「そんな事考えてないで、とりあえず出してよ」
という声が、か細くも聴こえ、ハッとした。
ああ、アレだと私は瞬時に連想し、
頭を撫でていた手を、ゆるやかに耳へ持っていった。
耳を覆うように包み、軽く揉んでやると耳の奥から、何かモゾモゾしたものがやってきた。
覆っていた手を少し緩めると、その隙間からニューっと小人が出てきた。
いや、私は視線を一定に保っているので見えないのだけど、小人に決まっている。
そして、出てきた小人は踊りながら「ありがとう」とお辞儀し、ふわふわと宙を舞っている。
また、2人目の小人が私の耳から出てきて、「ありがとうー」とにっこり笑って、踊った。
 不思議な光景ではあるが、私には日常茶飯事だった。
いつからか、耳の奥から声がして、耳を揉んでやると軽快なステップを踏みながら小人達が出てくるのだ。
彼らはとても軽やかで、こんな風に重ったるしく授業を受けている私には、羨ましくてたまらなかった。
 そのとき、窓から風が強く舞い込んで来て小人達をさらって行った。
「きゃー」って言いながら、とても天真爛漫な小人達は青い若葉の空へと飛んでいった。
屋上に上っていくのかもしれない。
私も、小人になれたらいいのにな、と、
うだるような数学の授業を方耳で聞きながら感じられた。



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