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砂利と自嘲

あんなに好きでも、どうせは幼稚な恋でした。
 まだ私が学生であった頃。私には里中君という彼氏がいた。
里中君からの告白で付き合うことになった。
自分は容姿にそれほど恵まれた方ではなく、それが初めて受けた愛の告白だったので、それとなくOKをだした。
それまでしかし正直交際当初、私はは里中君のことを少し避けていた。
もちろんそれは里中君に嫌悪を抱いているという訳でなく、ただ照れていただけなのだが、
どうもなかなか里中君と目が合わせられなかった。
まあそういうこそばゆい日々も過ぎ、ある日を境に私達はどんどん親密な関係になって行った。
学校は同じであるが、クラスは違ったので休憩時間のたびに私達は寄り添い、
移動教室で相手のクラスを通りかかるとニヤニヤして手を振り合った。それが私達の暗黙の間の約束だった。
 今思い出すとかなりの馬鹿男女である。多分周りから見ても、まさに目も当てられない二人だったはずだ。
 それでも、私達は愛し合ったのだった。
 まず、清い交際を目指すべく交換ノートを始めた。
コレは大ヒットだった。
私の書いた気持ちに、真剣に返事を返す里中君は、すごく真面目だったし、学校で面と向かう里中君とは違った。
私は里中君の字のクセも覚えてしまう位に何度も何度も読み返し、涙目になった。
里中君も彼がどれほど私を愛しているかという心境を書き出し、私はその言葉に胸躍った。
あまりに楽しかったので、返事はいつも1ページでは足りなかった。
お互い、愛情を表現する為にピンクのペンを使ったため、ノートはピンク色で埋め尽くされた。
私はいったいそのノートのなかに「ハートマーク」をどれだけ多用しただろうか。
乱用、と言ってもいい量だろう。何しろ、文節ごとにハートマークをつけていたのだから。
しかし、そういう気味の悪い文章に、里中君も痛く感動してしまったのだから、恋は盲目、としか言いようが無い。
 何度でも抱きしめあい、常に手を握っていた。里中君の汗ばんだ手も、私にとってはスバラシイ恋人の手だ。
「部活は何時から始まるの?」
「あ、そろそろだ・・・ごめんな多美子」
「いいよ・・・。頑張って練習してね。」
幾度もその会話は繰り返された。この少しの会話のやり取りに、どれ程の愛が込められているか計り知れない。
 子供心にも、これは「大人ノ恋ダ」と思い込んでいた。
お互いの衝動を抑えながら、相手を思いやる。愛する事を理解しているつもりだった。
 けれどもその蜜月期も、あっけない結末が訪れる事になる。
 少しお互いのことを知りすぎて、少しお互いに飽きてしまいそうになったころに訪れたエックスデーは、
かなり風の強い日だったことを記憶している。

「かなえっていうイトコがいるんだ。結構重い病気にかかってさ。
昔はすんげー強気で可愛げのねぇ女だったんだけど、
最近、すっかり弱っちゃって。このごろ結構頻繁にお見舞い言ってたんだよね。
すると急に弱音吐き出すの。
私は誰にも愛されないまましんでくんだ、親も友達もみんな私を忘れるんだよって。
・・・・・・・・・それでさ・・・・」

私はその後の里中君の言葉を覚えていない。
多分途中で別れ話になり、私が少し叫んで里中君に
「さようなら!」とヤケクソ気味に吐き捨てて、終わりになったんだと思うのだが。
 そう、里中君はそのかなえという人を選んだのだ。
私はその人のせいで別れる事になったのも許せなかったし、
何より何度も隠れてお見舞いに行っていたということにこの上なく腹が立った。
最近デートの約束入らないなーなんて呑気なことを考えていた自分にも腹が立った。
 幸いにも、里中君と別れたことに対しての淋しさや悲しさは湧いて出なかった。情けない。
現在思い出しても、きっと分かれた当時思い出しても馬鹿馬鹿しい恋だと思う。
あんなに愛し合ったって、こうやって簡単に崩れるんなら、私の愛を返せと言いたい。
里中君にあれほど入れ込んだ自分が情けない。愛の交換ノートも馬鹿らしい。
 この恋を思い出すたびにどうしようもなく口の奥で吐き気がする。
あまりの自分の恥ずかしさに、歯と歯の間で砂利が噛み潰されていくような。

 そして今一番嫌悪するのは、たびたびこうやって思い出して未練がましく癒えない傷をさらけだす自分であるのだ。



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123番キリバンどーも麻央ちゃん!
リクは「恋愛」でした。
多分麻央ちゃんが考えていたものとは程遠い、何かアンハッピーエンドなもんですいません。
きっとディスプレイの前で麻央ちゃんが嫌そうな表情してるのがわかります 苦笑
でもかくのは楽しかった。



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